京都に5つある花街では、芸妓さんや舞妓さんが、日々、舞・踊りをはじめとする芸事の習練を積み重ねるとともに、茶道などの伝統文化の習得に励んでいます。おおきに財団は、花街が誇る伝統伎芸の保存・継承を目的として、平成8年に発足し、伝統文化の素晴らしさを国内外に発信してきました。
まち全体が協働してつくる花街の文化
着物などの装いは、伝統工芸の職人や髪結い師、着付け師によって、また、舞・踊りは、技芸を磨く稽古場やしきたりを学ぶ置屋、お客さんに披露する歌舞練場をはじめ、宴席の料理を提供する仕出し屋など多くの人によって、長い間支えられてきています。さまざまな職人技や先人たちの知恵が蓄積してきた花街の文化は、風情ある街並みとともに、まち全体が協働して育んできました。いわば、京都の「ひと」「わざ」「もの」が花街を支え、ものづくりと都市・京都の活性化につながってきたのです。
初めてのお客さんの入店をお断りする「一見(いちげん)さんお断り」といった慣行も、一見冷たく感じる独特の文化ですが、お客さんのことをよく知ることで、より高いレベルのおもてなしを提供するためであり、見る目を養い、深い理解のもと長く来てくれているお客さんとの信頼関係を大事にするための工夫なのです。おもてなしを受ける側も、花街の文化を支える一員と考えられていることがわかります。
おもてなしの文化と伝統文化が凝縮した京都の花街。本物へのこだわりを大切にしながら育まれたその華麗で洗練された文化が、日本国内からだけでなく、海外からも高い評価を受けている背景には、京都ならではの文化と成り立ちがあるのです。