ヴィーガンを選択肢の一つとすることは、多様なライフスタイルを肯定することです。時代の変化とともに常に新しいものや多様性を取り入れながら、独自の文化を育んできた京都から、未来のつくり手たちとヴィーガンを通してどんな人も肯定される社会をつくり続ける。そんな想いのもと2020年にKYOTOVEGANを立ち上げました。私たちは理念として、すべての生き物の違いを尊重し調和を意識する「生物多様性」と、自然生態系を回復させる社会や経済の活動を促進する「ネイチャーポジティブ」を掲げて活動しています。
京都らしいライフスタイルとしてのヴィーガン
世界では、とくにヨーロッパを中心に、①動物の福祉(アニマルウェルフェア)の観点、②牛肉などの畜産を育てるときの環境負荷の観点、③畜産加工品を食べる人の体への影響の観点から、ヴィーガンが広がっています。食肉用の動物に大きな負担をかける不自然な飼育方法、畜産用の餌をつくるための森林伐採、効率的に加工するために多用される体に悪いホルモン剤や抗生物質など、動物や自然環境、人の健康に与える悪影響が問題になっているのです。国によっては、宗教上の理由でお肉を食べない人たちもいますが、多くの国では、さらに「脱炭素」の観点からもヴィーガンを選ぶ人口が年々増えています。

例えば1人の人が消費する牛肉をつくるためにはサッカー場2つ分の土地が必要で、その過程で地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出します。もし世界中の人びとが植物由来の食生活に変えると、とてつもなく広大な面積の耕作地を森林に戻すことができると言われています。
そのような背景から、植物由来の食べ物や衣類を選択するヴィーガン人口は増える一方です。毎年多くの国から観光客が訪れる京都では、菜食対応のメニューを提供するお店は増えてきていますが、観光客にうまく情報が伝わっていなかったり、特別な人のためのメニューという意識が強かったり、多様な食のあり方を支える当たり前の選択肢になっていないのが現状です。しかし、よく見てみると、京都にはお寺で提供される植物由来の精進(しょうじん)料理や、ハゼの木から作られた和ろうそく、捨てられる服から再度衣服の原料となる綿花を育てる京木綿(きょうもめん)プロジェクトなど、植物ベースの食事や文化が根付いています。
私たちKYOTOVEGANは、そんな京都の姿勢や感性をヒントにして、ヴィーガンに取り組むチームをつくり、ヴィーガンにつながるお店や企業の可能性を発見しながら、「食」に限らず、衣・食・住・遊さまざまな切り口から“京都らしい脱炭素のライフスタイル”を発信しています。決してヴィーガンだけを広げたいわけではありません。まずは多様な観点からその考え方を知って理解し、人間だけではなく環境や生物の未来を考えること。偏ったイメージにとどまらず、日本や京都らしさを軸に自分で体験した上で選択肢としてもってほしいと願い、これからも活動を広げていきます。