1977年の開館以来、京都伝統産業ミュージアムでは、京都に息づく産業とその背景の紹介を通して、広く伝統産業の振興に取り組んできました。何十年・何百年と長く続いてきた伝統産業は、「持続可能な開発目標(SDGs)」が誕生するよりずっと前から、産業の成り立ちがもともとサステナブルなのです。
地域資源を活かした循環的なものづくり
歴史ある伝統工芸品は、木や土、漆、麻、絹などの天然素材を原料とし、長年受け継がれてきた手法を用いて基本的に手作業で作られるため、製造時のエネルギー消費・CO2の排出が少ないのが特徴の一つです。生産地域にあった資源を必要なだけ使い、自然と共生しながら地球にやさしいものを生み出しています。

天然素材から作られた伝統工芸品は、時間がたつと素材の色や質感が変化していくことも味わいとして楽しむことができ、手入れや修理をすることで時には世代を超えて長く使い続けることができます。仮に使い終えて廃棄するときも、基本的に自然分解が可能です。まさに地域資源が循環する、持続可能なものづくりとして長く続いてきたのです。
さらに各地のお祭りなどの伝統行事、町家や社寺の伝統的な建築物にも伝統工芸品が多く使われているため、地域の文化や風習の存続にも深く関わっています。
このように自然や地域と共生してきた伝統産業の分野では、近年プラスチック製品の大量生産や安価な輸入品の台頭、便利な生活家電が普及したことにより、伝統工芸品を使う人や作り手の職人さんが減っているという問題に直面しています。そこで私たちは、新しい工芸の見せ方としてアートとのコラボ展示をしたり、デザインのコンペをしたりすることで若い人材と新たな可能性の発掘に力を入れています。
SDGsや脱炭素の側面からも伝統産業が見直されている今こそ、これからもサステナブルなものづくりが続くように、その魅力や新しい取り組みを発信していきます。