私たちの活動は、もともと国際交流が好きな女性たちの小さな集まりから始まりました。創業した1997年当時は、女性が活躍できる職場が少なかった時代。日本語学校での教師の経験から働くことのやりがいを感じていた代表が、女性たちの能力を活かせる機会をつくりたいと立ち上げました。
当時の女性たちは、たしなみとして茶道や華道を習っていることが多く、また代表自身が学生時代にフランスでの家庭訪問の経験があったことからヒントを得て、自宅で日本文化を教える教室を始めたのがきっかけでした。以来、海外からの観光客を含む国内外の方に対する日本文化体験と、国際交流事業として若い世代に向けた教育プログラムを提供しています。
国際交流を通じて学び合う、多様性と多彩な文化
日本文化体験事業では、旅行者ではなかなか実現が難しい個人宅(茶道や書道等の先生のお宅)を訪問し、アットホームな雰囲気の中、地元の人々との交流を体験できます。また普段は非公開の寺院を特別に貸し切り、座禅や書道など希望の体験も提供。自然と共生してきた京都の人々の知恵と工夫が詰まった京町家での日本文化体験も好評を得ています。その他にも、舞妓(まいこ)さん/芸妓(げいこ)さんとのお茶屋体験や武道体験など、100を超える体験の場を提供することで、楽しみながら日本文化の精神やマナー等を学ぶことができます。
さまざまな文化を教える講師「アテンダント」は、30代から80代までが幅広く活躍!茶道、華道、日本舞踊、料理、書道、着物着付けなどの専門性を活かし、例年約40軒のご家庭に協力いただきながら、およそ150名の女性のお仕事づくりにつながっています。
「教えることは学ぶこと」であり、講師にとっても学び直すことでずっと続く奥深さが、日本文化にはあります。そして、お客様の中には、前に習った同じ先生を指名して何年か後に再訪される方もいたり、習ったことを持ち帰り自分の国で伝えたりする方も。お客様にとっても、単に「楽しかった」だけでは終わらない、かけがえのない時間になってほしいと、まさに茶道で言われる「一期一会(いちごいちえ)」を大切にしています。
日本の修学旅行生、小学生などの若い世代へ向けた国際交流事業では、京都で学んでいる世界各国の留学生たちが京都を案内します。事業としてお客様にプログラムを提供している以上サービスの質を維持することには気を配っており、留学生とは事前に丁寧に面談を行います。72カ国以上の留学生視点で京都を知ることができる「留学生とめぐる京都」を通して、京都の文化だけでなく、留学生との交流からも多様な文化を学んでいただきたいです。出発前は恥ずかしそうにしていた学生さんたちが最後には留学生と仲良くなっている様子を見たとき、コーディネートのやりがいを感じます。単なる語学力にとどまらない、日本の歴史や文化、日本の良いところを自分の言葉で説明し自分の考えを主張できる力こそ、これからのグローバル社会では大事だと考えています。
コロナ禍の2022年4月には、留学生たちが自分の国のことを紹介する機会として、世界の留学生と話せるカフェ(通称:世界カフェ)もオープン。地域の活性化にもつながっています。最近では留学生とSDGsを学ぶ講座や京都の大学生から自分らしい生き方のお話を聞く探究プログラム、新しい折り紙商品の開発に続き、以前から取り組んでいた障がいをもった方のお仕事づくりでも新しい展開が始まりました。女性の能力を活かせるお仕事づくりと国際交流から始まった活動が、地域の発展や多様で持続可能な社会に貢献できるよう、さらなる広がりを目指していきます。